Fairport Convention / Unhalfbricking UK盤 ISLAND -ILPS9102\rフェアポート・コンベンションにとってターニングポイントとなった本作は、彼らが影響を受けた音楽の集大成となっている。ボブ・ディランをカヴァーした3曲では、ジョニ・ミッチェル、ディランといったアメリカのフォーク、ロックンロール、シンガーソングライターに圧倒的な影響を受けた、彼らのルーツをたどることができる。ディランの「If You Gotta Go Go Now」のフランス語ヴァージョン「Si Tu Dois Partir」はバンド唯一のヒットシングルとなり、騒々しいヴァージョンの「Million Dollar Bash」のコーラスはアルバムのフィナーレを飾るのにぴったりだ。\r\rサンディ・デニーとリチャード・トンプソンは、それぞれ英国の生んだ最高のボーカリストとギタリストかもしれないが、本作では非凡なソングライティングの才能も予感させている。ふたりはそれぞれ2曲を提供し、詞と曲の織りなす時代を超えた音楽風景を聴かせる。トンプソンは、うっとりさせる「Genesis Hall」でアルバムの幕を開けさせ、「Cajun Woman」で猥雑(わいざつ)な遊び心をじめじめしたサウンドにもちこんでいる。一方、デニーは「Autopsy」と「Who Knows Where The Time Goes」を書き、前者はアーリージャズの影響が色濃く、後者は彼女がこれまで書いたなかでも指折りのすばらしさだ。\r\rこのアルバムの最後の鍵となるのが、バンドの未来を象徴する11分におよぶ「A Sailor's Life」である。この曲でバンドは、サンディが昔から知っていたフォークソングを驚くべきサウンドに生まれ変わらせた。そして、トンプソンのギターとエレクトリック・フォークミュージシャンであるデイヴ・スウォーブリックの熱く長いバイオリンの掛け合いがこの曲を締めくくっている。\r\rまだフェアポート・コンベンションの曲を一度も耳にしたことがないのなら、このまさに時代を超えたアルバムから聴き始めるといいかも知れない。\r\r盤質、ジャケはキレイです。\rレコードの特性上、また再生環境によりパチパチ音などサウンドへの影響は一概に異なりますので、細部など気になる神経質な方はお控え下さい。